ドイツでの大学2学期目が終わったので振り返ってみる

ドイツでの大学2学期目を振り返ってみる

7月中旬に大学の2学期目の授業期間が終了し夏休みに入ったので、今学期を振り返ってみようと思います。

期末試験はまだなので、今学期履修していた授業の内容や様子、感想などが中心になります。

一般的な学期の流れについてはこちらの記事で詳しく説明していますのでご覧ください。

ドイツでの大学1学期目を振り返ってみる

2学期は対面授業が再開した

コロナの影響で1学期は完全オンライン授業でしたが、2学期は対面授業が再開しました。講義はもちろんのこと、今までZoomで行われていた演習も対面になりました。

教授によっては「講義は録画もするし同時配信もするからわざわざ大学に来なくていい」という人もいましたが、基本的にはコロナ以前の体制に戻った形です。

私としては、家から出なくても授業が受けられるというのも魅力的でしたが、大学で新しい出会いがあったり、同級生たちと肩を並べて授業を受けたりできるのも良いなと思いました。

2学期に履修した授業

2学期に履修した授業は、「数学II」「形式言語理論」「ソートアルゴリズムとデータ構造(プログラミング)」「コンピュータの仕組み」「スペイン語」の5つです。

うちスペイン語以外はすべて必修科目で、授業言語はすべてドイツ語です。

期末試験はスペイン語以外まだこれからですが、試験の受験資格(Klausurzulassung)はすべて獲得しました。

ではそれぞれの内容と感想です。

数学II(Mathematik II)

1学期の数学Iに引き続き、2学期も数学がありました。

主な内容は関数の極限と微積でした。日本でいう数IIIの内容から始まって、テイラー展開や微分方程式など日本の大学で習う内容もありました。

ほぼ自力で勉強するもなんとかなった

数学は1学期の時と同じ教授が担当していたのですが、私は1学期の最初の講義に出て以来、一度も講義に行っていません。

というのも、この教授はドイツ南部かオーストリアあたりのご出身のようで、ドイツ語のアクセントがあまり一般的なものではなかったのです。

これがドイツ語ネイティブではない私にとってはかなり聞き取りづらく…。

これに加えて授業スライドもなく、講義中の視覚的な情報は教授による板書だけという状況でした。

私はドイツ人の手書きの文字を読むのが苦手なので、いちいち解読に時間がかかってしまっていました。

周りのドイツ人学生に聞いてみると、アクセントや板書はそれほど問題にはならないようなのですが、それでも「話すスピードが遅すぎて退屈」「講義を聞いていても何も頭に入ってこない」などという言われようでした。

というわけで私は講義には行かず、自分で勉強していました。

ありがたいことに、大学数学に関してはドイツ語でも日本語でもネット上に授業動画や解説サイトがたくさんあります。

週1で課題を提出しなければならなかったので、そういったネット上のさまざまなソースを見ながら問題を解いて、解法を身につけていくという形で勉強していました。

形式言語理論(Aussagenlogik und Prädikatenlogik)

こちらも1学期から継続です。内容としては2学期履修した授業の中では一番難しかったです。

1学期からはまた一段と難しくなって、今学期は量化子と呼ばれる「∀」「∃」といった記号が登場しました。

授業ではこれらの記号を含む命題をひたすらいじくりまわしていましたが、後半からは難しすぎて、正直もうなにをやっているのかわからなくなっていました…。

グループでの課題提出、専門的な内容のドイツ語で苦戦

この授業では隔週で課題の提出があり、4人グループで1つの解答を提出することになっていました。

いろいろやり方はあると思いますが、私たちのグループでは毎回提出締切の数日前に1時間程度オンライン通話をし、各自が持ち寄った解答について検討していました。

私たちのグループはドイツ人2人、中国人1人、日本人1人という構成で、会話はもちろんドイツ語でした。

グループで話していて感じたのは、専門的な内容をドイツ語で話すのはやっぱり難しい、ということです。

再びドイツに来て1年がたち、日常会話はだいぶ慣れてきましたが、大学の授業の内容となると、なんとか理解はできてもスムーズにアウトプットするのはかなり難しいと感じます。

日常生活で口に出す機会のない専門単語や言い回しは、自分のものにできていないので、話す時につまったり、話すスピードがかなり遅くなってしまいます。

というわけで、グループでの通話の前には少しだけ以下のような準備をするようにしていました。

  • その週の課題の問題文で使われている名詞の性をチェックしておく
  • 問題を解く過程を説明するときに使われそうな動詞や言い回しを調べておく
  • 自分が問題をどういう方法で解いたかをなんとなく説明できるように頭の中で準備しておく

こう言語化するとなんだか大変そうに聞こえますが、実際には通話を始める前の5〜10分くらいでささっとやっていました。

短い時間でも準備をすることで、相手の話がより理解できるようになるのと、言葉につまる場面が少なくなり、より自信を持って話せるようになると思います。

ソートアルゴリズムとデータ構造(Algorithmen und Datenstrukturen)

こちらも1学期から継続ですが、内容は難しくなりました。

1学期は「Javaでプログラミングすること」自体に重きが置かれていたのですが、2学期は「Javaでソートアルゴリズムを実装してみよう!」といった感じでした。

ソートアルゴリズムというのは、データの集合をある規則にのっとって並び替える仕組みのことです。

例えば「3,2,5,1,4」という数字の列を「1,2,3,4,5」というふうに小さい順に並び替えたい、というときにそのソートアルゴリズムが用いられます。

この授業ではそのアルゴリズム数種類やデータ構造などについてインプットしつつ、課題でそれをJavaで実装する練習をしました。

課題が激ムズ!

課題は1学期と同様、「こういうプログラムを作りなさい」という指示書が与えられ、それに沿ってコードを書いていくというものでした。

1学期は週1提出だったのが、2学期は隔週提出になりました。楽になるかと思いきや、そうはいきませんでした…。

1学期は「プログラミングをする」こと自体が目的だったのが、2学期は一段階上がって「プログラミングで問題を解決する」ことが目的になり、課題の内容も一段と難しくなりました。

1つの課題を終わらせるのにいつもだいたい30時間くらいかかり、隔週提出でも大変さはあまり変わらなかったです。

コンピュータの仕組み(Rechnerorganisation)

2学期はコンピュータの仕組みについて学ぶという授業もありました。

内容的には1学期の「デジタル技術」に似ている部分もありましたが、教授は違う人でした。

前半はアセンブラ、後半はマイクロプロセッサの設計や構造などが主なテーマでした。

マイクロプロセッサとはコンピュータの中でデータ処理を担う半導体チップのことで、CPUの同義語です。

演習は3〜5人の少人数、逆にハードルが高かった

この授業は講義と演習がセットになっていて、演習はすでにこの授業の単位をとった大学院生などがチューターとして勉強を見てくれるというものです。いわゆるTutoriumというものです。

演習は異なる曜日・時間帯に10コマくらい設けられているので、学期の最初に自分で都合の良いコマを選んで登録します。

私が登録していたコマには学生が全部で9人いたのですが、半分は最初から来なかったのでいつもだいたい3〜5人くらいしかいませんでした。

雰囲気はゆるくて、みんなでチューターと会話しながら演習用の課題を解いていくという感じでした。

ただほかのメンバーが全員ドイツ語ネイティブだったということもあり、なかなか会話に入れないことも多かったです。

ドイツ人の若者同士の会話って、とにかくテンポが速いんですよね…。加えて若者特有の言葉遣いもあるので、難易度は結構高いのではと思っています。

ドイツ人の若者オンリーの会話に難なく混ざれるようになるのはまだ先かなぁと感じました。

スペイン語

7月後半にスペインとポルトガルに旅行に行くことが決まっていたので、今学期は必修4科目に加え、自由選択科目としてスペイン語をとりました。

私がとったのは完全初心者向けのスペイン語A1の授業です。

語学の授業は基本的に週2コマ+課題+中間試験+期末試験なので、まあまあ時間がとられます。

私の先生はメキシコ人の女性の方でした。授業シラバスでは「授業はスペイン語で行う」となっていたのですが、実際には半分くらいドイツ語でした。

まあ完全な初心者が文法などをスペイン語で理解するのは難しいですよね…。

生徒のほうはというと、約25人のうちほぼ全員がドイツ語ネイティブで、ネイティブでないのは私ともう1人くらいでした。

ドイツの学生は手を挙げるのが速い

このスペイン語の授業では、日本の一般的な語学の授業よりも、やはり積極的に発言することが求められました。

私はあまり自分から手を挙げることに慣れていないので、ちょっと居心地が悪いと感じるときもありました。

私の場合、先生が全体に向けて質問を投げかけてきたとき、無意識ながら他の人が手を挙げていないか確認していました。

その上で、「誰も手を挙げていないなら、じゃあ…」といった感じでやっと手を挙げていました。

こういうところでつくづく、自分はやっぱり日本人だなぁと感じます笑

日本の大学で語学の授業を受けていたときも、自分含めだいたいみんながそんな感じでした。

先生が質問しても誰も手を挙げず、先生が「どうですか?どうですか?」と何回か促して初めて誰かが手を挙げる、なんてことばかりでした。

一方でドイツの学生はというと、とにかく反応が速い!

先生が質問する→手を挙げる→指名される→答える、までのスピード感といったらもう、日本の大学では一生お目にかかれないような代物でした。

私は自分の考えている答えが間違っていないことを2度3度確認してからでないと怖くて手が挙げられなかったので、このドイツのスピードにはなかなかついていけませんでした。

この辺は今後慣れていく必要があると思います。

ちなみにスペイン旅行ですが、もともと1週間以上滞在する予定だったところ、もろもろの事情で結局2泊3日に短縮となってしまいました。

3か月わりとがんばって勉強したのでスペイン語を使う機会が少なくなってしまったのは残念でした…。

2学期目を終えた感想

ひたすら課題に追われていた1学期と比べて、2学期は少し心の余裕ができたように感じます。

課題の量自体はあまり変わっていないのですが、大学生活や課題のこなし方に慣れたというのが一番大きいと思います。

あとは、2学期に入ってようやく友達らしい友達ができました。今ではその友達と授業を一緒に受けたり、家で一緒に料理をしたりすることもあります。

1学期はオンライン授業でずっと家にひきこもっていたので、適度に外出したり友達と遊んだりするのも精神的な健康には大事だなと実感しました。

ドイツでの大学1学期目を振り返ってみる
ABOUT US
インフォルマティカー山田
日本の大学でドイツ言語学を学び、現在はドイツのダルムシュタット工科大学で情報学を専攻しています。 ドイツ語に関する素朴な疑問をたくさんのドイツ語学習者の方と共有したいと思い、ブログを始めました。 ドイツ語はもちろん、ドイツでの生活や正規留学についてなど、ドイツにまつわるあれこれを発信しています。