滞在許可取得をめぐるドイツ外国人局とのバトル記

滞在許可をめぐる外国人局とのバトル記

私は2019〜2020年の交換留学後、1年間の日本での滞在を経て、大学卒業後の2021年5月にドイツに舞い戻りました。

ですがそんな私を待っていたのは、3か月にわたる外国人局(Ausländerbehörde)の担当者とのバトルでした。

今回は当時の日記をもとに、外国人局との滞在許可取得をめぐるやりとりを書いていこうと思います。

滞在費負担保証書

2021年5月ドイツへ再渡航、現地でワーホリ取得へ

2021年5月にドイツへ再渡航したあとは、現地でワーホリ目的の滞在許可を取得しました。

ワーホリビザの取得は普通渡航前に日本のドイツ大使館で行いますが、その時期はコロナ禍で、日本では発行が停止されていました。

ならば現地で!と考え居住予定地の外国人局に問い合わせ、「こちらでの発行は通常通り行っている」との回答をもらいました。

というわけで、「入国さえできれば勝ち」状態でした。

ですが当時日本からドイツへの入国は、原則ビジネス目的の短期滞在者、長期滞在者に限られており、その場合も出張理由書や事前の滞在許可取得などが必要でした。

そこで私は当時あった未婚カップル対象の入国制度を利用し、ドイツに入国することにしました。

これは、ドイツ人のパートナーがシェンゲン圏外に住む外国人パートナーを招待するという形で入国が認められるというものです。

書類集めはパートナーも巻き込んだものになったので少々大変でしたが、その後無事入国もクリアしました。

3か月にわたる外国人局とのバトル始まる

問題はここからでした。

居住地の外国人局の担当者があまり良い人ではなく、しかも今までにワーホリ目的の滞在許可を発行した経験がなかったらしく、滞在許可取得はかなり難航しました。

最終的になんとか取得にこぎつけましたが、正直もうこんな経験はしたくないというのが本音です。

もともと担当者によって対応が違うことで有名なドイツのお役所ですが、こういうケースもあるんだなという感じで読んでいただければ嬉しいです。

1. 初めて外国人局に電話するも住民登録データがまだ来ていない(6月中旬)

5月下旬にドイツ入国後、6月初旬にやっと市役所の予約が取れ、住民登録をしました。

その1週間後、初めて管轄の外国人局に電話をかけましたが、その住民登録のデータがまだこちらのパソコンに来ていないということで、あと2週間待つように言われました。

2. 前回の留学が「中退」扱いに(2週間後)

2週間待って再び外国人局に電話をかけたところ、2人の担当者の間をたらい回しされたのち、最終的に私の正式な担当となる人につなげてもらいました。

その外国人局では名字のアルファベット順で担当者が決まっているらしく(AからDoは◯◯さんの担当、といったように)、私の名前は担当者が変わるちょうど境界らへんにあったようです。

ひとまず担当者とつながれたわけですが、ここからが謎ポイントです。

どうやらその担当者によると、私の書類がまだ調査(prüfen)中で、それが終わらないとこちらの手続きは進められないということなのです。

そもそもなんの書類よ?と思ったのですが、担当者によると調査が終わっていない原因としては、私が過去にドイツで大学を中退したからだと。

ここで彼女が言っているのはもちろん過去の交換留学のことですが、中退もなにも私はそのドイツの大学に正式に入学したわけではありません

学籍登録はしましたが、留学期間の終わりには規定通り除籍証明書(Exmatrikulationsbescheinigung)ももらって帰りました。

これがおそらくどこかの書類上で「中退」と認識されてしまい、調査に時間がかかっていたのです。

3. 自分の勘違いにより再びたらい回しに(1週間後)

1週間待ったのち再び担当者に電話をかけました。「ワーホリビザ」を取得したいのですがと伝えると、「それは私の管轄じゃない」と言われてしまいました。

あとから考えると、これは私がビザ(Visum)と言ってしまったのが悪かったと思います。ビザはあくまで入国に際して必要になるもので、滞在許可(Aufenthaltserlaubnis)とは違うものなので…。

その後、大使館へ行ってくれ、いやそれは外国人局で、などとたらい回しになり、最終的にまた外国人局の担当者のもとに戻りました。

4. 「中退」扱いについて釈明するも手続きを進めてくれるかどうか不明

担当者に再び電話をすると「ビザの部署には電話した?」と聞かれ、またビザのほうに戻されそうになりました。訳を話すととりあえず書類が今どうなっているかは調べてくれました。

ですが書類はまだ調査中らしく、「過去にドイツに何度も出入りしたこと」「大学を中退したこと」が不利に働いている可能性を指摘されました。

しかし、交換留学中の短期の国外旅行を除くと私がドイツに入国したのはその時が2回目で、何を根拠に「何度も出入りした」などと言っているのだろう…と思いました。

まるで不法移民のような扱いに嫌気がさしました。

「中退」扱いとあわせて担当者にパートナーから事実を説明してもらいましたが、それに対して特にコメントはありませんでした。

唯一言われたのは、「調査があとどのくらいかかるかはわからない」と。「90日の滞在期間がもうすぐ過ぎそうだから、だいたいでも知りたい」と食い下がりましたが、言えないの一点ばりでした。

まあこれはおそらく管轄の機関?部署?が違うのでしょうがないですね。

5. 弁護士の友人さん経由で担当者に催促→書類送る(1週間後)

その後、知り合いの人経由でその時の状況を弁護士さんに相談したところ、偶然その弁護士さんの友人がその外国人局で働いていることがわかり、その方経由で私の担当者を少し催促してもらいました。

最後の電話から1週間後、担当者に電話をすると「War ich nicht erreichbar?」と嫌味を言われました。同僚経由で催促してきたことが気に食わなかったんでしょう。

ちなみに私は電話中の時点ではそれが嫌味だと気づかず完全にスルーしていました。笑

書類の調査は終わったらしく、滞在期限や必要な書類を全部早急にメールで送ってくれとのことだったので、その日中に送りました。

この時点で90日の滞在期限まで約20日でした。

まったくの偶然ということもあるかもしれませんが、催促したあと本当に急にことが進んだので、そのおかげだった可能性も考えられます。

6. 担当者より電話あり、後日外国人局に来るようTerminをもらう(2週間後)

この時点では、90日の滞在期限がせまるなかFiktionsbescheinigung(一般に仮ビザと呼ばれています)ももらえていなかったので、焦る気持ちがありました。

メールで書類を送ってから2日後、書類の原本を提出するTerminはいつもらえるのかということを問い合わせたところ、書類が完璧であることを確認してからしかTerminは出せないとのことでした。

そんなに何度も電話してくると書類の確認に集中できないのでやめてくれとも言われました…。笑

すいませんね、こちらも必死なもので…。

「Ein paar Tage」でまた連絡するから、と言われ待っていましたが、結局電話が来たのは2週間ほど経ってからでした。(Ein paar Tage って2〜3日くらいでは!?)

その時点で90日の滞在期限まで約5日でした。

もらったTerminは、滞在期限をさらに5日ほど過ぎた日でした。電話の際「1年後の5月には延長はできないから出てってね」と言われました。

ワーホリはもちろん1年までですが、滞在目的を変更すればこの滞在許可を延長することは可能です。

7. 外国人局に行き書類にサイン&Vorläufige Bescheinigungをもらう

Terminの日、外国人局に行きました。あの担当者が出てくると思っていたので恐怖におののいていたのですが、窓口にいたのは別の若い男性でした。

とても親切な人で、指紋採取と何回かサインを終えて、滞在許可証の送料と発行料100€を払ってくるよう言われました。

通常ワーホリ目的での滞在許可の発行料は100€なのですが、なぜか日本人は無料とされています。

そこでその旨を説明すると、その担当の方は数分調べたあと「払わなくて大丈夫」と言ってくれました。結局送料4.8€だけ支払いました。

最後に、身分証明書はパスポートの他になにか持っているかと聞かれ、ないと答えたら、Vorläufige Bescheinigungというものを発行してくれました。いわゆる仮ビザのようなものです。

警察になにか聞かれた時はこれを見せれば大丈夫、とのことでした。

8. ついに郵便で滞在許可証を受け取る

それから1か月半後、ついに郵便でカード式の滞在許可証を受け取りました。いや、それにしても長い道のりだった…。

滞在許可取得はドイツ在住における最初の関門

長くなるので記事中では省きましたが、まず担当者に電話をしてもなかなかつながりませんでした。

まだSprechstundeの時間内なのに、「明日の朝6時に電話してきて」と理由もなにも言わず切られたこともありました。朝6時はSprechstundeの時間外だったにもかかわらず、です。

さらに、担当者の態度が終始良くなく、当たりがキツかったのも、当時かなりストレスになっていました。

外国人局では、滞在許可がほしい私たち外国人の立場は弱く、逆にそれを発行する側である職員の立場は強くなります。

そのため、職員からすればどんなに態度悪く接しても大丈夫だし、こちらからすればどんなに嫌な担当者でも文句は言えないのです。

もちろんこういう担当者ばかりではありません。交換留学時の担当者は親切な人でした。

これはまさに運、「担当者ガチャ」です。

総じてなかなかスムーズにはいかないのがドイツの滞在許可取得です。

現在進行形で申請されている方の中には、90日の期限が近づいてきて「このまま不法滞在になったらどうしよう…」と心配されている方もいると思います。

ですがきっと大丈夫!

手続きが遅れているのは多くの場合皆さんのせいではないはず。であればそれによって皆さんが不利な状況になることはありません(と少なくとも私の居住地の外国人局は言っています)。

人によってはかなりストレスフルな滞在許可関連の手続きですが、ともに乗り越えていきましょう!

滞在費負担保証書
ABOUT US
インフォルマティカー山田
日本の大学でドイツ言語学を学び、現在はドイツのダルムシュタット工科大学で情報学を専攻しています。 ドイツ語に関する素朴な疑問をたくさんのドイツ語学習者の方と共有したいと思い、ブログを始めました。 ドイツ語はもちろん、ドイツでの生活や正規留学についてなど、ドイツにまつわるあれこれを発信しています。