先日、滞在許可延長手続きの関係でVerpflichtungserklärung(滞在費負担保証書)について調べたので、わかったことを書いていこうと思います。
目次
Verpflichtungserklärung(滞在費負担保証書)とは?
Verpflichtungserklärung(滞在費負担保証書)とは、ドイツにいる家族や親戚、友人、恋人などを短期間訪問する際、または語学学校通学や結婚準備などで長期間ドイツに滞在する際などに提出する書類です。
ドイツにいる受け入れ側の人が「この人の滞在費用は全部ひっくるめて自分が負担することを約束する」書類です。
ただこの受け入れ側の人は、ドイツ国籍であるか、またはドイツの永住権を持っているなど、長期的にドイツでの滞在が許可されている人に限ります。
この保証書は、日本人の場合90日までの短期滞在であれば提出の必要はありません。また、ドイツ人と結婚している方は、長期滞在予定でも必要ありません。
つまり、私たち日本人がこの保証書を提出する場面はかなり限られるわけです。
それでもドイツでこれから結婚するという方や、養ってくれるドイツ人の知り合いがいる学生などが考えられると思います。
この保証書は長期滞在用と短期滞在用で少々違いがあるので、以下ではそれぞれについて説明していきます。
長期滞在用(Verpflichtungserklärung für einen langfristigen Aufenthalt)
日本人が必要になるのは圧倒的にこちらの長期滞在用の滞在費負担保証書だと思います。
滞在費負担保証書の申請にあたっては短期・長期滞在かかわらず「月々手取りで最低これだけは稼いでいないとだめですよ」というような収入水準が設定されています。
すでに扶養家族がいる場合は、その人数によってこのラインは上がります。
収入水準は住んでいる地域によって異なるので、ここでは参考までにベルリンの例を紹介します。
語学コース/語学学校に通う場合
扶養家族 | 月の最低収入(手取り) |
---|---|
なし | 2,490ユーロ |
1人 | 3,450ユーロ |
2人 | 4,101ユーロ |
大学に通うまたは職業訓練を受ける場合
扶養家族 | 月の最低収入(手取り) |
---|---|
なし | 2,530ユーロ |
1人 | 3,510ユーロ |
2人 | 4,130ユーロ |
就職活動もしくは結婚準備
扶養家族 | 月の最低収入(手取り) |
---|---|
なし | 2,670ユーロ |
1人 | 3,700ユーロ |
2人 | 4,227ユーロ |
Service-Portal Berlin: Verpflichtungserklärung für langfristige Aufenthalte(ドイツ語)
※2022年8月時点
ちなみに私の住んでいる地域の外国人局では、短期滞在用の収入水準のみウェブサイトで公開されていて、長期滞在用の収入水準は個別で担当者に電話で聞くようになっていました。
短期滞在用(Verpflichtungserklärung für einen kurzfristigen Aufenthalt)
短期滞在用の滞在費負担保証書は、90日までの短期の訪問用です。
前述の通り日本人は90日までの滞在であればビザや滞在許可はいらないので、この保証書もいりません。
基本的に、ドイツ入国にあたってビザが必要な国の人が申請します。
Verpflichtungserklärung(滞在費負担保証書)申請手続きの方法
では、滞在費負担保証書の具体的な申請手続きの方法について解説していきます。
今回は、実際に私の住んでいる地域の外国人局に問い合わせをしました。
私の管轄の外国人局では実際に出向いて申請するシステムになっていますが、最近ではオンライン申請を受け付けているところも増えているようです。
手続きの細かい部分は役所によって異なることも考えられるので、参考程度にご覧いただければ嬉しいです。
1. 外国人局のTerminをとる
まず、外国人局のTerminをとります。
この外国人局というのは、滞在費を負担してもらう側の人が実際にドイツで住むことになる場所の管轄の外国人局です。
実際に外国人局に出向くのは滞在費を負担する側の人なので、Terminもその人が自分でとるのが良いと思います。
2. 申請書に記入する
次に、外国人局のウェブサイトに載っている申請書を印刷して必要事項を記入します。
もしウェブサイトで公開されていなければ取り寄せるか、外国人局に取りに行くことになります。
さらに、ウェブサイト上では短期滞在用と長期滞在用について分けて説明されているけれども申請書は兼用、ということもあります。
不明な点がある場合はTerminより前に電話などで外国人局に確認しておくと良いと思います。
外国人局によっては、この申請書と必要書類のデータを事前にメールなどで提出し、間違いがないことが確認されてからしかTerminをあげることはできない、というところもあります。
3. 外国人局で提出&認証してもらう
Terminの日時に外国人局に出向いて申請書と必要書類を提出します。当日必要な書類は以下の通りです。
- 申請書
- 滞在費を負担する人のサインが書いてあるパスポートまたは身分証明書(Personalausweis)
- 賃貸契約書(Mietvertrag)または土地登記簿謄本(Grundbuchauszug)
- 収入証明書(最近3か月間の給与明細など)
外国人局ではサインが本物であるという認証(Beglaubigung)が行われるので、必ず滞在費を負担する人本人が行かなくてはなりません。
書類に問題がなければ滞在費負担保証書はその場で交付されます。
手続きにかかる手数料は29ユーロとなっています(2022年8月時点)。
4. 滞在許可申請時に一緒に提出する
次に、発行してもらった滞在費負担保証書を実際に滞在許可を申請する本人に渡します。
この滞在費を負担してもらう側の人は、滞在許可を申請するときにこの保証書を他の必要書類とともに提出します。
Verpflichtungserklärung(滞在費負担保証書)申請にあたっての2つの注意点
最後に、滞在費負担保証書を申請するにあたっての注意点を2つ紹介します。
滞在費を負担する人は滞在にかかるすべての費用を負担する義務を負う
滞在費を負担する人は、滞在中にかかるすべての費用を負担しなければならないとなっています。
衣食住はもちろんのこと、滞在する人が病気になったときの治療費なども含まれます。
また可能性は低いですが、滞在する人がなんらかの理由で国外追放を言い渡された場合などは、航空券代や拘留費用なども負担することになります。
交付から滞在許可取得まで6か月以上空いてはいけない
滞在費負担保証書の交付から滞在許可の取得まで、6か月以上空いてはいけないという決まりになっています。
これはその期間に滞在費を負担する人の経済状況が変化している可能性があるためです。
ただこれは完全に個人的な予想ですが、6か月を多少過ぎても大丈夫ではないかという気がします。
ドイツでの滞在許可の取得というのは時間を要することが多いですが、それはたいてい外国人局側で時間がかかっているからです。
自分は早めに申請開始したのに外国人局のせいで手続きが長引いている!という場合は、6か月を過ぎていても大目に見てもらえるのではないかと思います(もちろんこれは私の予想に過ぎませんが…)。
まとめ
この滞在費負担保証書、私は実際に申請したわけではないので、もし今後申請することがあれば詳細を更新しようと思います。
ここまで長々と書いてきましたが、ドイツに来る日本人でこの保証書を提出しようと思っている人は一体どれだけいるのでしょうか…?
Verpflichtungserklärung(滞在費負担保証書)は、滞在費を負担する側の人が作成し、役所に承認してもらうものです。
滞在許可証の申請時に必要になるのであれば、それまでに自分の手元に来るよう前もって準備してもらう必要があります。